徒然草の26段の始まりの

この26段目の始めの部分が昔から好きだった。その意味するところは、どんな小説でも歌でも見受けられるようなものだし、言葉のメタファーも別に特別だという訳でもない。あえて言えば、古語で書かれているということだけが特別かもしれない。好きなもの、本当に何か懐かしく思えるような好きなものって、そんなものなのかもしれない。僕は頭の中で生活の中に存在する甘いものをできるだけ排除してきた。その抑圧された欲求が僕に沢山の第二楽章を聞かせて、そして芥川龍之介だったら陳腐だと思うようなこの徒然草の26段の始まりを何か自分ごとのように悲しく思わせているのだ。

風も吹きあへずうつろふ人の心の花に馴れにし年月を思へば

あはれと聞きし言の葉ごとに忘れぬものから

我が世の外になりゆくならひこそ

亡き人の別れよりもまさりてかなしきものなれ

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